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国語勉強法案

はじめに

この度機会を得て、小学生の生徒様などに国語を指導することになりました。

このとき作成した資料は、一般向けであってもおそらく役立つ部分はあると思いましたので、ここで公開します。

目次

第一章 国語力総論①読む力について

第二章 国語力総論②書く力について

第三章 国語力各論①前提条件~漢字&語彙・一般常識~

第四章 国語力各論②想像力

第五章 国語力各論③構成力

第六章 国語力各論④表現力

資料① ロードマップ

資料② 国語力評価表案

第一章 国語力総論①読む力について

国語における「やること」の中で、一番ウェイトが高いのはこの「読む」という作業です。

もちろん、最終的には「書く」ことで答案に自分の解答を表現しなければならないのですが、それ以前に「読めていないことは書くことはできない」というのが私の考え方です。

 「読む」ということを分解すると、次の要素に分かれます。

 非常に漠然としていますから、具体的な要素に分けてみることは有効です。

 

・前提条件~漢字&語彙・一般常識

 これを不要という人はいないでしょう。ただ、知識だけでは必ずしも読めないのが国語ということでもあります。言葉と言葉をつなげるのは「(一般)常識」です。私たち大人が当たり前すぎて、表に出さないようなこともとりわけ小学生を指導する場合には、より具体的に教えることが大切になります。

 

・想像力・共感力

 今の社会にいろいろ問題が発生している原因は、元をたどるとここにあるのではないでしょうか。

 単に機械的に読むだけでは、文章が頭に入ってこない、という場合には想像力と共感力が不十分(不慣れ)であることが多いです。実は、想像力や共感力は小説や物語文に限定されず、堅苦しい評論文を読むときにもとても重要になります。つまり、作者が言っていることを(自分の体験を媒介しながら)具体的に咀嚼するのです。

 

 

この二種類のスキルは、矛盾するものではなく、むしろ重なり合ってはじめて成果が出るというたぐいのものです。

第二章 国語力総論②書く力について

次に「書く」というスキルも分解してみましょう。答案に直接リンクするという意味では非常に重要な要素です。

 

・構成力

 「頭では分かっていても、言葉では表現できない」ということの原因は、構成力の欠缺にあります。

 私の考えでは、「頭の中の漠然としたイメージ」は言語的なものではなく、感覚的なものです。なので、それを理性的な観点から言語的に再構成しなければならないといえます。

 

・表現力~客観性・具体性~

 「自分の中では当たり前だと思っていることも、他人(採点者)にとっては自明ではない」というある種の常識をどこまで忠実に守れるか、ということでもあります。

 

第三章 国語力各論①前提条件~漢字&語彙・一般常識~

漢字にしても語彙・一般常識にしても、それらは「読み書き」という目的があるからこそ、その本当の姿が明らかとなってくるといえます。

 したがって、「前提条件」を勉強する場合には、それぞれバラバラにやるのではなく、文章(本文)と関連付けて行うことが、教育的な観点からしても非常に重要かつ有効であると思っています。

 

 したがって、ワークや問題集の本文に言葉の読みや意味を書くということは、マストだといえます。ただ、それだけにとどまらないということは次の項目でご説明します。

第四章 国語力各論②想像力・共感力

 私が「国語力」の中で(受験勉強的にも社会的にも)最も重要だと思っているのがこれです。自身の日常生活の経験を、国語というテキストの読解に有機的につなげていける力という言い方もできます。

 想像力・共感力は、基本的に他人からの刺激がないと身につかないと思っています。ですから、授業における(一方通行ではない)双方向のコミュニケーションがとても重要になるといえます。

 具体的には、次の二段階が有効です。

 

①話し言葉によるコミュニケーション

まず、会話の中でそのテーマについて理解すること。

②書き言葉によるコミュニケーション

 「書く力」ともつながりますが、自分の理解しているところを書き言葉によってコミュニケーションできるようにすると、より思考回路が明確になるのでは、とみています。なので、問題用紙やノートなどは自分の書いた文(箇条書き不可)で埋まるほど、「読んで書く」という作業を行います。

 

 また、想像力や共感力を鍛えるには日々における様々な刺激がとても重要になります。特に小学生の場合には、これから習得していかなければならない「常識」が多くあるわけですから、勉強机にかじりつく(だけ)ではなく、さまざまな社会勉強をしてみると、それが間接的にじわじわと効いてくるのではないでしょうか。

第五章 国語力各論③構成力

構成力は、自分の頭の中にある非言語的なイメージを言語的な形に再構成することです。その中では付け加えたり、他方で捨象したりすることも出てきます。

 簡単に言えば、構成力は「国語における足し算と引き算」なのです。

 当然のことながら、そのために「必要な要素はあらかじめ読み取っておかなければならない」ということが前提です。

 

 構成力には、次の二段階があります。

 

①「何を先に(後に)書くか」という順序に関するセンス

②「何が主で何が従であるのか」という階層に関するセンス

 

 書きたいことがたくさんあったとしても、それは一つずつしか書けませんから適切な順番に配列しなおさねばなりません。また、国語の答案では(常に)論理的な文章を書くことが求められているといえますから、論理的にわかりやすい文章の書き方を会得することは重要です。

 

 この構成力は、トライ&エラーつまり、添削によって磨かれます。

 ですから「トライする根気」と「わかりやすい添削」がマストになるといえるでしょう。

第六章 国語力各論④表現力~客観性・具体性~

 わかりやすい表現というのは、いい加減な表現ということではありません。

 むしろ、だれが見ても納得する内容であり、かつ具体的に了解できる必要がありますから、人によっては「難しい」と感じることもあるかもしれません。

 

例えば「こそあど言葉」を断りなく使用しない、ということからはじまり、読み取ったことを自己満足ではなくて他人にわかりやすく伝えようという客観的で具体的な表現力もまた重要です。

 

 この表現力もまた「トライ&エラー」が不可欠であり、自分で書いて自己満足しているのではなく、「お手本」の存在や、その「お手本」に近づく方法について、自己の体験を媒介しながら身に着けていくということが大切です。

資料① ロードマップ

資料② 国語力評価表案

(イ)前提条件

漢字の読み書きと語彙

 甲 本文を読むにあたって「漢字やことばが分からないので理解が難しい」という状態が全く発生していない

 乙 本文を読むにあたって、おおむね漢字は読めるが、重要個所について漢字が読めないことや言葉の意味が不明瞭なことがある

 丙 漢字が読めないこと、あるいは言葉の意味を知らないことによって、本文の読解に支障が出ている

一般常識

 甲 本文が前提としている文脈や常識を正しく踏まえ、本文に書いてあることを誤りなくとらえることができている

 乙 本文を読むにあたって、おおむね決定的な意味の取り違えはしていないが、重要個所において異なる理解をしていることがある

 丙 本文の内容を独自の解釈に基づいて読んでおり、本文中の事実関係や論理関係などが不正確である

(ロ)創造力・共感力

 甲 本文における筆者の主張や登場人物の心情などを、実感を伴って具体的に理解している

 乙 本文における筆者の主張や登場人物の心情などについては、なんとなくわかるものの、理解が抽象的であいまいなところがある

 丙 本文を辞書的・単語的なレベルでしか理解しておらず、内容について尋ねても本文中の言葉のパッチワークから抜け出せていない

(ハ)構成力

甲 ことばの前後関係や主従関係について正しく踏まえ、適切に日本語を運用している

乙 部分部分はそれなりにわかりやすく書けるものの、全体として前後関係や主従関係があいまいであり、誤解をまねきうる文章となっている

丙 単語をなんとなく羅列しているのみであり、伝えたい内容が正しく伝わっていない文章となってしまっている

(ニ)表現力

甲 簡潔な表現を適切に組み合わせ、伝わってくる内容が説得的で明快である

乙 趣旨不明とまではいかないものの、やや記述が「宙に浮いている」感があり、説得性が十分ではない 

丙 いわゆる「こそあど言葉」を断りなく使用するなど、自分本位のわかりづらい文章となってしまっている。

 

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国語勉強法案(印刷用)
2018年11月28日作成版
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